はじめに
このブログでは中小企業診断士試験の範囲を中心に、学生や新入社員・若手に知って欲しい知識をお伝えしていきます。
なぜ中小企業診断士試験かというと、この試験は試験範囲が非常に広く、ビジネススキルを強化する上でベースとなりうるものが多く含まれているからです。
ここでは「中小企業診断士試験」とはどんな試験なのか、取るとどんなメリットがあるのか、についてご紹介します。
ですが、そのまえにひとつだけ言わせてください。
20代で中小企業診断士試験に合格すると相当すごいです。
めちゃくちゃ自慢できます。
取得までに1,000時間程度の勉強時間が掛かる試験と言われており、短い人でも300時間程度を要します。
ただ、僕個人としては若いうちに勉強漬けになることはあまり良いことではないと思っています。
感覚の鋭い20代のうちは様々なものを見て、色々なことを経験し、多くの人と会うことも大事です。
ぶっちゃけ、勉強自体はある程度年を取ってからでもできるので、勉強漬けになるのはそれからでもいいかなと。
とはいえ、若いうちから勉強の習慣をつけておくメリットは大きく、ビジネススキルを高めるのにも役立つので「学習すること」については強くお薦めしたいと考えています。
当ブログでは中小企業診断士試験の内容を中心にご紹介しますが、試験の受験を強くお薦めするものでは無いのでそこはご理解いただけると嬉しいです!
もし勉強を進めていくうえで「面白い!」と感じて受験を決意されたなら、それは素晴らしいことだと思います。
学ぶって、楽しいことだと思うんですよね。
特に、誰かに強要されてじゃなく自分が興味のある内容だったら。
さて、少々脱線しましたが本題にもどりましょう!
中小企業診断士ってどんな資格?
まずは、中小企業診断士制度について、公式の定義をご紹介します。
中小企業診断協会が主催している試験なので、よかったら公式のページも覗いてみてくださいね。
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。法律上の国家資格として、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。
中小企業診断協会
中小企業診断士制度は、中小企業者が適切な経営の診断及び経営に関する助言を受けるに当たり、経営の診断及び経営に関する助言を行う者の選定を容易にするため、経済産業大臣が一定のレベル以上の能力を持った者を登録するための制度です。
中小企業基本法では、中小企業者が経営資源を確保するための業務に従事する者(公的支援事業に限らず、民間で活躍する経営コンサルタント)として位置づけられています。
ちょっと長いので読むのが大変だったかも。
簡単に言うと、経産省が認める経営コンサルタント資格「中小企業診断士」に登録するための試験って感じだね。
ここでもう一つ、中小企業診断士の特徴をお伝えしておこうと思います。
中小企業診断士は「士業」であるにも関わらず、独立やコンサルタント業務を行う以外の理由で勉強する人も多いです。
通常、税理士や会計士、弁護士などの「士業」は、その業務を行うために資格を取得することがほとんどです。
これらは「業務独占資格」と呼ばれるもので「その資格所持者じゃないとこの業務はダメ!」と決められているからです。
業務をするために資格を取る、という感じで資格取得が手段になっている訳ですね。
中小企業診断士は独占業務を持ちません。
もちろん得意な業務はありますが、何をしてもいいし、何もしなくても良いんです。
社会人としてのビジネススキル向上といった自己研鑽で受験する人が多いのも、「士業」では珍しいことだと思います。
なので「資格を取って満足」となってしまい、結局登録しないままの人もちらほら聞きます。
逆に、独立してバリバリ活躍される人もいるので資格の活かし方は自分次第といったところでしょうか。
自由度が高いので、色んなタイプの診断士がいます。
情報系に強かったり、弁護士とのダブルライセンスで法律に詳しかったり。
そういった色々なタイプの診断士と組んで一緒に仕事ができるのも、中小企業診断士の魅力のひとつですね。
試験の難度や目安時間は?
それでは、中小企業診断士に登録するための試験はどんなものなのかと。
受験する人の背景(知識や専門分野)などによってバラツキがあることを前置きしたうえで、ほとんどの人にとって難関資格と言えます。
理由のひとつめは異様に広い試験範囲。
診断士試験は一次と二次に分かれますが、一次の範囲がびっくりするくらい広いです。
まずはこちらをご覧ください。
一次試験は選択式で7科目あるんだけど、「経営コンサル」っていうから経営学だけかと思いきや…この範囲の広さ!
経営・財務・法務あたりは当然として、運営や情報、中小企業向けの政策まで入ってるのか…
これ何時間くらいかかるの?
得意分野や専門で変わるけど、だいたい1科目100時間~200時間って言われてるね。
個々の科目自体は、それぞれ同種の資格の初級レベル~中級レベル。
簿記だと日商簿記3級~2級、情報だとITパスポートレベルってところかな?
なるほど、これは個人差が激しそう。
大学で経済を専攻していたり、社会人として法務部で働いていたりすると関連科目が少し楽になったりします。
とはいえ、専門家でないと手も足も出ない問題はほぼ出ないので、専門外からでも十分に合格ラインへは到達可能。
また、科目合格制度があるため7科目いっきに合格しなくてもOKです。
もっと言えば3年以内に7科目合格で大丈夫なので、1年に2~3科目の合格を目指す複数年計画の人も結構います。
他にも科目免除という制度があり、こちらはそもそも受験しなくて良いというお得な仕組み。
ただ、条件がえげつない…所持資格が弁護士とか税理士とかなんです。
詳しくはこちらをご覧ください。僕は絶望した後で笑いがこみ上げてきました。
科目免除を、あえて狙うとするなら「応用情報技術者」を取得しての「情報」免除です。
これだけは唯一、狙って取れる範囲の資格だと思います。特にシステムエンジニアの方には強くお薦め。
僕も「応用情報技術者」を取得して「情報」を免除しました。
このあたりの受験計画についてはまた別の記事で書けたらなと思っています。
一次試験の合格率は約17~40%です。
直近の令和4年度では28.9%と若干高めですが、基本的に20%を目安に考えておくと良いと思います。
一次試験を突破した後は、一次を突破した猛者が二次試験で待ち受けています。
それでは、二次試験についてもさらっと見ていきましょう。
一次試験と二次試験の最も大きな差は「記述式になる」ということ。
2~3ページの与件文(問題文)を読んで、平均100文字程度×5問程度を答えることが多いよ!
問題によっては1問で200字程度解答するときもあるけど、だいたい各事例ごとに500~700文字程度書く感じで考えておくと良いかも!
二次試験は「紙上のコンサル」とも言われていてかなり実践的な内容。
与件文(問題文)には各企業の情報が載ってるんだけど、これは社長からのヒアリングレポートみたいな感じ。
「〇社はいついつに創業して今までこんな感じでやってきて、今はこれに困ってます」みたいな。
で、設問を通して現在の企業の現状を整理したり、社長への助言をしていく、って感じだね。
そんな感じだね。
それから、二次試験は目安時間が出しづらい…
200時間程度で突破する人もいれば、それこそ二次試験だけで1,000時間を超える人もいるし。
社会人としての「経験が邪魔をする」なんてこともあるしね。
自分の経験則で解答してしまってセオリーから外れるパターン。
目安は一次と二次で合わせて1,000時間って言われることが多いので、まずはこのあたりを意識しておくといいかも。
二次試験は、各事例ごとにモデル企業があり企業の抱える問題点や社長の悩みもリアルなため、解いていて非常に楽しい試験です。
しかし80分で2~3ページを読み込み500~700文字の解答を作るだけでもかなりの難度なのに、それを4事例分行うため相当にタフな試験でもあります。
ちなみに、一次試験を突破すると二次試験は2回まで受験チャンスがあり、二次試験に2回落ちると一次試験からやりなおしになります。
一次 → 二次とストレートで挑む受験生にとっては、一次の合格発表から二次本番までの2~3ヶ月と準備期間が短く、効率の良い試験対策が必須となります。
そのため二次試験は最初から2年計画という人もいたり、それぞれの学習状況に合わせて挑戦しています。
ちなみに、上の図で挙げた事例Ⅰ~Ⅳは二次試験の「筆記試験」です。
二次試験は「筆記試験」と「口述試験」で構成されており、「口述試験」は「筆記試験」合格者のみが受けることができます。
ただ、「口述試験」についてはあまり心配することはありません。
口述試験は常識的な対応や、対話ができるかを見る試験と言われており合格率が極めて高く、100%合格だった年もあります。
つまり、「落とす試験」は二次試験の筆記試験までということです。
一次試験から二次試験までの流れと、各科目の関連性 (※注意:私見です) を図にしてみました。
だいたいこんな感じになります。
一次試験7科目のうち、特に二次試験に関連性が強いのは(企業経営論・財務会計・運営管理)の3科目です。
もちろん7科目とも重要ですし、まったく二次試験に出てこないわけではないのですが、特に関連性が強い科目ということで取り上げるとこの3科目になります。
ここで言う「関連性が強い」とは、各事例で解答を作る上でのベースになる、という意味で、簡単に言えば「知っていると有利になる」ということです。
具体的には令和3年度であれば事例Ⅰで、製造業で生産を委託し工場を持たない形態をとる「ファブレス化」が出てきました。
知らなくても解答できなくはありませんでしたが、ファブレス化のメリットやデメリットを知っているかどうかで解答の速度や精度に大きな差が出ることになりました。
そして、この「ファブレス」は一次試験の企業経営論で出題されたことがあります。
(※厳密にはファブレスは「運営管理」でも試験範囲になっています)
なので、一次の理解度で二次の有利不利にも繋がるという点では、無駄のない中々良くできた試験だなと思います。
中小企業診断士試験の流れ、なんとなくイメージできてきたでしょうか?
このブログは受験を強くお薦めするためのものではないので、今は「ふーん、こんな感じか」くらいで大丈夫です!
もし「受験しよう」となったら、そのときにこの記事を読み返してみてくださいね。
中小企業診断士試験の合格率は一次試験~二次試験を加味すると4%~7%になります。
※一次20% × 二次20%とすると4%(毎年多少前後する)
20人に一人くらいしか合格できない試験ということになりますね。
高難度の試験になるので合格すると自慢できますよ!
取るとどんなメリットがあるの?
さて、こんなに難しい中小企業診断士の試験、合格するとどんなご褒美があるのでしょうか?
まっさきに挙げられるのはこの3つです。
- 幅広い知識が身につくことで社会人としてのビジネススキルが強化される
- 副業(複業)による収入アップが期待できる
- 「中小企業診断士」として独立できる
1.幅広い知識が身につくことで社会人としてのビジネススキルが強化される
これはどちらかと言えば「合格」というより「勉強すること」によるメリットになります。
7科目からなる一次試験を網羅することで大学(文系)で学ぶ内容を総覧できます(ある程度まで、ですが)。
社会人としての一般常識となる知識を一気に揃えることができ、会社の業績や経営方針が理解しやすくなるというメリットもあります。
労働時間と残業に関わる労働衛生の観点は人事部、マーケティング知識は経営企画部などの専門の部門に配属されなければなかなか個人で学ぶ機会がありません。
そういった各専門の部門で学ぶような知識を予め知ることができるというのも、自分自身の社会人としてのキャリアを検討する上では大きな武器となります。
2.副業(複業)による収入アップが期待できる
企業によっては副業を認めているところもあり、その場合は「企業内診断士」としての活躍の場が期待できます。
土日や有休を使って中小企業診断士としてコンサルを行うこともでき、働いた分だけ収入を得ることもできます。
時間に融通の利く執筆や書類作成などの仕事を選べば、平日の夜間など、自分の余暇の時間を使って活動も可能です。
ちなみに僕も2022年現在、この「企業内診断士」です。
副業で資格試験の参考書に関わったり、補助金の事業計画作成なんかもしています。
活動は主に平日の夜間なので、会社の仕事に影響がないのがメリットですね。
3.「中小企業診断士」として独立できる
最終的にはこの「独立」を目指す方も多く、コンサルとして活躍するために中小企業診断士資格を取る人もいます。
各地域に存在する診断士協会に所属し、コミュニティに参加することで知名度を上げて仕事を獲得する感じですね。
中小企業診断士はヨコの繋がりもタテの繋がりも比較的強く、診断士同士で仕事を融通しあうことも多いです。
仕事のピークが重なることが多いため、お互いに助け合う感じです。
中小企業診断士は他の士業と異なり、仲間と協力して仕事を進めることが多いのが特徴として挙げられます。
診断士同士でもそれぞれに専門があり、情報系に強い診断士、法律に強い診断士、営業力に優れた診断士・・・など各々の得意なところで勝負している人が多いため協力体制が組みやすいんです。
なので診断士同士で仲の良い人、けっこう多いですよ!
合格のメリットについては、ここで挙げた他にも企業によっては報奨金やお祝い金をもらえたりもします。
中小企業診断士は企業診断業務と関わりが深いため、特に金融系と相性が良いです。
金融系は企業の財務状況改善のために経営相談を行ったり、融資依頼に来た企業の事業計画を評価することがあるからです。
他にも、診断士資格が昇進時の査定にプラスに働くなど、間接的なメリットを得られる場合もあります。
お勤めの企業で「中小企業診断士」がどう評価されるか、ぜひ調べて見て下さいね。
さいごに
それでは「中小企業診断士」についてサラッと纏めておきましょう。
①中小企業診断士試験は、経産省が認める経営コンサルタント資格「中小企業診断士」に登録するための試験。
②選択式の一次試験7科目と記述式の二次試験4科目+口述試験がある。
③合格時のメリット、代表的なものは以下の3つ。
→ 幅広い知識が身につくことで社会人としてのビジネススキルが強化される
→ 副業(複業)による収入アップが期待できる
→「中小企業診断士」として独立できる
ここまでお疲れ様でした! いかがだったでしょうか?
ちょっと堅い話もあったので読むのが大変だったかもしれません。
このブログを読んでくれたあなたが「中小企業診断士」にちょっとでも興味を持ってくれたら嬉しいな!
今日はこれでおしまい!
それでは、次回またお会いしましょう!