覚えておきたい新旧購買プロセス ~AIDMA → AISAS~【企業経営論】

もくじ

さいしょに

リット

今回取り上げるテーマは「購買プロセス」。
消費者がどんな流れで商品やサービスの購入をするに至るか、そのモデルですね。
どちらかと言えばマーケティング寄りの内容になります。

きなお

中小企業診断士受験生の方は、企業経営論の試験範囲にもなるので要チェック!
ネット、特にSNSの発展で変わった部分もあるので、そこにも注目してみてね!

というわけで、今日の目標はこの2つです!

・購買プロセスの基本を知る
・購買プロセスのうち最も基本的な「AIDMA」と「AISAS」のパターンを理解して使える様になる

購買プロセスってなに?

購買行動、とか消費者の行動モデル、とかいろいろな言葉で表現されます。

AIDMA(アイドマ)』という言葉の方が、ご存じの方が多いかもしれません。
これは米国で提唱された消費者行動5つのステップの頭文字を取ったものです。

購買プロセスについては多くのモデルが提唱されています。
また、ネットの隆盛やSNSの流行といった外部環境の変化で有力とされるモデルも、ずいぶんと様変わりしてきました。

今回の記事では消費者が購入に至るまでのプロセスとして最も一般的な「AIDMAモデル」と「AISASモデル」についてメインでご紹介していきます。

AIDMA(アイドマ)

リット

まずはAIDMAから行きましょう。
こちらは主にネットが普及する前のモデルです。
※提唱されたのが1920年代

きなお

「だいぶ前じゃん、もう意味ないんじゃね?」
と思う人もいるんじゃないかな?

リット

今でもチラシや紙面広告といったネットメディアを使わないものには十分に役に立つ内容です。
ネット利用の少ないシニアをターゲット層とする場合にも使えますね。

AIDMA』は「そもそも商品を知らない」状態から「購入」に至るまで5つのプロセスを辿ります。

まずは知ってもらい(Attention)、そこから興味を持ってもらう(Interest)。
「欲しい(Desire)」と思わせてから時々思い出してもらう(Memory)。
「欲しい」が「必要」になったタイミングで思い出して貰うことで購入(Action)に至るという流れです。

僕が以前勤めていた会社でパンフレットを作成していた時に、当時お世話になっていたコンサルに教えてもらったのが『AIDMA』でした。
その当時、繰り返し言われたのは

コンサル

チラシやパンフレットには「相手が何をすれば良いか」まで入れる。
電話してほしいなら「まずはお電話を」など具体的なアクションを明記しないとお客さんは行動してくれない。

当時は「ほんまかな…?」「興味持ってくれたら『電話を!』とか書かなくても掛けてきてくれるんちゃうの?」とか思っていました。

でも、言う通りに「まずはこちらまでお電話を」と入れると本当に反応が良くなり、ぐうの音も出なくなりました。
たった一言、それだけでこうも変わるものかと体感できたことが、その後のパンフレットやチラシ等の作成にも活きました。

皆さんもパンフレットやチラシを作成するときは、最後の「Action」を特に意識して作ってみてください。
どんなに要素を詰め込んだ流麗なパンフレットやチラシも、お客さんの反応が無ければただの飾りです。

たった一言で成果が変わる。
これがマーケティング分野の面白さですね。

AISAS(アイサス)

リット

次にAISASです。
こちらはネット普及後のモデルで、2004年に提唱されたもの。

きなお

ちなみにこれを提唱したのは電通。
2005年には商標としても登録されてるよ!

リット

提唱されてから時間がたち、派生系ができたりしています。
でも、基本を知っておかないと新しい派生形に対応できません。
なので「AISAS」はまだまだ知っておくべき重要な要素ですね。

AIDMAと同様に『AISAS』も5つのプロセスを辿り「そもそも商品を知らない」状態から始まります。
ただし、「購入」でとどまらずに「購入後」にも目を向けている点が異なります。

まずは知ってもらい(Attention)、そこから興味を持ってもらう(Interest)。
ここまではAIDMAと同じ。

そこからネットで「検索(Search)」して口コミや情報を確認、購入(Action)に至る。
さらに使い勝手や納得いかないことをSNS等に書き込む(Share)という流れになります。

リット

「検索(Search)」については、みんな「買ってがっかりしたくない」と考えているんですよね。

きなお

「この商品ってみんな買って満足できてるのかな?」って調べるんだね。
で、納得出来たら買う、と。

リット

なので売り手としては消費者に「納得してもらう」ことが重要。
一般的に言われているのは「良い口コミをいかに書いてもらうか」。

ネットは、もはや無くてはならないものになりました。
そのためマーケティングもネットありきで動く必要に迫られています。

ネットによる変化で顕著なのは情報の拡散速度の向上。
すぐに商品やサービスを「検索」して、商品やサービスの良い点も悪い点も今までに無い速度で「共有」されています。

うかつなことをすれば即炎上という状況は売り手にとっては怖いものです。
逆に、良質な商品やサービスを提供して上手く口コミを利用すれば、知名度獲得やブランド化までの速度短縮も可能。

いかにして買い手に良い口コミや情報の拡散してもらえるか、つまり「売り手の味方になってもらえるか」が勝負と言えます。

AIDMAとAISASを比較してみる

AIDMA」と「AISAS」、似てるところと違う所に注目して比較してみましょう。

リット

特徴的なのは「Desire」と「Memory」が「Search」に置き換わっている点!

きなお

さらに、「Action」の後に「Share」が追加されている点だね!

Desire」で『欲しい』と思わせてから、「Memory」で『あっ、そういえばこんなのあったな』と思いだす、というステップから、「Search」で検索して不安が解消できれば購入、という形に変化してきました。

この変化について押さえておくべきポイントは2点。

①検索による情報収集が容易になり、売り手と買い手の持つ情報量の差が減少したこと
②買い手が購入を踏みとどまる要因である「がっかりしたくない」を口コミで解消しやすくなった

まずは①について。
ネットが当たり前になるまでは売り手の持つ情報量と買い手の持つ情報量には大きな差がありました。

パンフレットなど紙媒体が情報獲得のメイン手段だった時代です。
今のように商品の使い勝手を口コミで調べたり、使用動画で事前調査ができない状況では、消費者もなかなか購入まで踏み切れません。
買った後に後悔するのを避けたいから、購入には慎重になります。

これに対し現在は情報過多ともいえる状況で、数分程度の検索で昔とは比べ物にならないほどの情報が得られるようになりました。
比較サイトランキングサイトなんかは利用されている方も多いのではないかと思います。

売り手と消費者の持つ情報量の差が縮まったことで、購入するかどうかの判断に必要な時間が短縮できました。

次に②について。
消費者が購入を踏みとどまる一番の要因は、「期待外れ」を防ぎたいと思う気持ちです。
がっかりしたくないんですよ、みんな。

ですが口コミサイト商品紹介動画で、より消費者に近い存在から詳細な情報を得ることができるようになりました。
これが非常に大きい。

お店から「この商品いいっすよ!」と言われても警戒するけど、職場の人に「これ良いですよ」と言われると説得力がありませんか?
口コミを上手く利用し、消費者が「買わない」選択肢をつぶしていく感じですね。

そのため、売り手としては購入後のアフターフォローにも力を入れる必要があります。
良い口コミを1件でも残してもらうようにするためです。
お店の戦略の一つではありますが、消費者にもメリットがあるのでWin-Winですね。

さいごに

リット

ここまでをざっとまとめてみます。

【AIDMA】
・注目(Attention) →興味(Interest)→欲求(Desire)→記憶(Memory)→購入(Action)の5つの流れで消費者の行動をモデル化したもの。
・ネット登場前のモデルのためスマホやSNSは考慮されていないが、パンフレットやチラシには十分活用可能。

【AISAS】
・注目(Attention) →興味(Interest)→検索(Search)→購入(Action)→共有(Share)の5つの流れで消費者の行動をモデル化したもの。
・ネット登場後のモデルでありSNSによる共有を考慮。
・口コミが重要になるため、購入後にも目が向けられている。

リット

いかがでしたか?今日は2つのモデルをご紹介しました。
最も有名といって良いモデルなのでまずはこの2つをおさえておきましょう。

きなお

モデルについては派生系が結構あるので中小企業診断士受験生の方は注意してね。
でも基本の2つを理解していれば、他の派生系の理解は早いよ!

リット

中小企業診断士の試験対策としても重要ですが、実生活にも役立つ考え方です。
興味を持っていただいた方は派生系や最新の購買プロセスについても調べて見て下さいね!
それでは、またお会いしましょう!

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この記事を書いた人

リットのアバター リット 中小企業診断士

新人教育やセミナー開催が強みの中小企業診断士
◆兵庫県在住
◆教育経験12年(SE:2年、PCスクール:7年、新人研修:3年)
◆中小企業診断士受験支援『一発合格道場』13代目

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