もくじ
さいしょに
当記事は事例分析シリーズです。
記事作成の都合上、前記事と同内容が含まれますのでご注意ください。
「※初回用」って書いてる折り畳みの部分が重複部分だよ! 初回の人だけ開いて読んでね!
一発合格道場(※初回用)
はじめての方に向けて、「一発合格道場」について少しだけ補足を。
中小企業診断士の受験支援団体である「一発合格道場」に所属(2022年3月~2023年2月)しています。
一発合格道場は、メンバーの持ち回りでブログによる試験対策等をお届けしています。
僕はその13代目(12名)で活動しています。
それぞれ得意分野を中心に個性的な記事を公開していますので、中小企業診断士の受験を検討されている方はぜひご覧ください🐰
中小企業診断士試験 一発合格道場
中小企業診断士試験 一発合格道場
社会人としてバリバリ仕事をこなしつつ、中小企業診断士試験に挑んだ初学者達が、ストレート合格・一発合格を果たした軌跡(奇跡?)を綴ります。勉強法・学校と独学の比較…
この「一発合格道場」のブログで、僕は「令和3年度の二次試験再現答案分析」というシリーズを担当していました。
メンバー全員分の再現答案を紹介しきれない分を、こちらのブログでやりたいと思います!
一発合格道場で既に公開済の3名(リット、あらきち、まん)はこちらを見てね。
中小企業診断士試験 一発合格道場
【永久保存版】令和3年度_事例Ⅰ:趣旨とふぞろいで再現答案分析(開示得点:95/87/54) ~合格答案のポイン…
R03事例分析シリーズ第一弾は事例Ⅰです!95点/87点/54点の再現答案を比較し、公式から発表されている趣旨とふぞろいの観点から合格のポイントを探ります!自己採点時の感覚…
こちらのブログでは毎回、メンバー1名分の再現答案を分析していくよ!
令和3年度事例Ⅰ、今回の再現答案はこの方!
あなたのやる気の起爆剤、🔥hotman🔥です。
道場記事はこちらを見て下さい!
というわけで、今回は「hotman」です。
令和3年度の事例Ⅰ:開示得点58の再現答案を分析していきましょう!
令和3年度_事例Ⅰ
全体イメージ解説(※初回用)
全体イメージ
令和3年度の事例Ⅰは印刷業!
事例Ⅰは事業承継がテーマになりやすいこともあり、社長が何代も出てくることが多いです。
時制表現(誰の代でやったか)が大事になりますので事例Ⅰでは特にご注意を!
令和3年度事例Ⅰの流れを、時系列で示したものが下図になります。
当然ですが、こんなもん悠長に試験中に書いている余裕はありません。
でも、練習時には非常に効果があると思っています。
慣れてくると記号や略語で表現することで時短もできますので、二次試験を勉強し始めた最初の1~2事例くらいはここまで作ってもいいかなと個人的に思っています。
基本の流れは、初代が工場で印刷していたのを、二代目がファブレス化で外注を利用し始めた。
外部環境の変化による競争激化に対応すべく新天地に踏み出し、三代目のノウハウや人脈を活かして広告事業を始めたけどうまく行ってない。
どないしたらええんやろうか? みたいな感じですね。
それでは各問題の再現答案を比べていきましょう!
第1問
【第1問】(20点)
2 代目経営者は、なぜ印刷工場を持たないファブレス化を行ったと考えられるか、100 字以内で述べよ。
【趣旨】※公式はこちら
ニッチ戦略、高付加価値分野への経営資源の再配分について、経営戦略の視点から分析する能力を問う問題である。
◆A:ニッチ戦略、高付加価値分野への経営資源の再配分 → 経営資源の集中投下
◆B:経営戦略の視点 → 戦略レイヤー(経営者視点)
「A:ニッチ戦略」「A:高付加価値分野への経営資源の再配分」の二点から、「ファブレス化により強みを強化し、得意分野に経営資源を集中したかったから」というメッセージが浮かび上がってきます。
また「B:経営戦略の視点」から今回は戦略レイヤーが求められていることが分かります。
「何を実現するか」を問われており、「どうやって実現するか」までは今回問われていないという認識で良さそうです。
次にふぞろいの観点は主に以下の3つになります。
二代目の戦略単体で問われているため、時制に注意し三代目の施策と混同しない様にする必要があります。
【(ふぞろい)観点】
●C:外部環境の変化に言及できているか(外部環境という「因」によりファブレス化した「果」、となる様に因果を繋げる)
●D:戦略を記載しているか(今回はこれが趣旨の「経営資源の集中投下」に繋がる様に設定する)
●E:戦略の効果を記載しているか
【趣旨】と【観点】の両面から再現答案を分析していきます。
理由は
①技術革新により新規参入社が増え競争激化により印刷単価が下がり
②社内の印刷職人が定年退職となり
③自社のコア業務を高品質、高精度な美術印刷分野に特化させ、環境の変化に対応し売上を維持する為である。
※「▼」をタップでウィンドウが開きます(タブで切り替えて各項目をご確認ください。)
【趣旨】
確認するポイントは以下の2点です。
①「趣旨」で求められている要素が入っているか
②「趣旨」が導く方向性から脱線していないか
ニッチ戦略、高付加価値分野への経営資源の再配分について、経営戦略の視点から分析する能力を問う問題である。
◆A:ニッチ戦略、高付加価値分野への経営資源の再配分 → 経営資源の集中投下
◆B:経営戦略の視点 → 戦略レイヤー(経営者視点)
理由は
①技術革新により新規参入社が増え競争激化により印刷単価が下がり
②社内の印刷職人が定年退職となり
③自社のコア業務を高品質、高精度な美術印刷分野に特化させ、環境の変化に対応し売上を維持する為である。
高付加価値化分野への経営資源集中を明記しており、お手本通りの解答です。
欲を言えば、「差別化集中戦略」まで言い切っても良かったかなと思いますが、ニッチ分野への注力は十分伝わる解答になっています。
理由は
①技術革新により新規参入社が増え競争激化により印刷単価が下がり
②社内の印刷職人が定年退職となり
③自社のコア業務を高品質、高精度な美術印刷分野に特化させ、環境の変化に対応し売上を維持する為である。
経営戦略の視点ということで、戦略レイヤー(最上位レイヤー)になります。
戦略レイヤーではWHAT(何をするか)を解答するのがセオリー。
今回は売り上げの維持を取り上げています。
高品質、高精度な美術品印刷分野への特化(因)→(果)環境変化への対応&売上維持、と流れも自然です。
欲を言えば「差別化集中戦略」を明記しても良かったかなと思います。
また、高精度に特化する理由は高付加価値化による利益の拡大となるため、「売上維持」よりも「売上拡大」の方が2代目社長の意図に沿うと考えられます。
僕なら、①②の文字数を少し削って、③をこんな感じにします。
③高付加価値の美術品印刷に特化し(因)→(果)差別化集中戦略により(因)→(果)環境変化への対応力向上と売上拡大を目指す。
【観点】
確認するポイントは以下の2点です。
①「観点」で求められている要素が入っているか
②使用する要素に偏りは無いか(バランスよく複数の観点で要素を使用できているか)
●C:外部環境の変化に言及できているか(外部環境という「因」によりファブレス化した「果」、となる様に因果を繋げる)
●D:戦略を記載しているか(今回はこれが趣旨の「経営資源の集中投下」に繋がる様に設定する)
●E:戦略の効果を記載しているか
理由は
①技術革新により新規参入社が増え競争激化により印刷単価が下がり
②社内の印刷職人が定年退職となり
③自社のコア業務を高品質、高精度な美術印刷分野に特化させ、環境の変化に対応し売上を維持する為である。
技術革新(因)→(果)新規参入(因)→(果)競争激化(因)→(果)印刷単価減少、と因果を踏まえて時系列に綺麗に並んでいます。
繋ぎもよく、文字数の無駄もない構成で個人的にもこの解答は好きです。
強いて言えば技術革新と新規参入の間に1つ入れるくらいですが、文字数との兼ね合いで厳しいかも。
デジタル化や技術革新により(因)→(果)参入障壁が低下し(因)→(果)新規参入が増え・・・
理由は
①技術革新により新規参入社が増え競争激化により印刷単価が下がり
②社内の印刷職人が定年退職となり
③自社のコア業務を高品質、高精度な美術印刷分野に特化させ、環境の変化に対応し売上を維持する為である。
内容としては差別化集中戦略となっており適切です。
加点を狙う場合、「差別化集中戦略」と言い切ってしまったほうが良いかもしれません。
↓ でほぼ同じ文字数です。
③高付加価値分野の美術品印刷に特化し、差別化集中戦略により環境変化への対応力向上と売上拡大を目指す。
「高品質、高精度」については与件文からの採用ですが、「高付加価値」で纏めることができます。
高付加価値化 → 差別化、の因果は二次試験の定番でもあるので、この部分の言い換えは問題ない範囲と考えられます。
理由は
①技術革新により新規参入社が増え競争激化により印刷単価が下がり
②社内の印刷職人が定年退職となり
③自社のコア業務を高品質、高精度な美術印刷分野に特化させ、環境の変化に対応し売上を維持する為である。
戦略の効果としては、環境変化への対応 → 売上維持、となっています。
趣旨の所でも述べた通り、「差別化集中戦略」を明記もアリです。
高精度に特化する理由は高付加価値化による利益の拡大となるため、「売上維持」よりも「売上拡大」の方が2代目社長の意図に沿うと考えられるため、③の部分を変更するならこんな感じになります。
③高付加価値の美術品印刷に特化し(因)→(果)差別化集中戦略により(因)→(果)環境変化への対応力向上と売上拡大を目指す。
第1問 攻略の鍵と思われるポイント
・中小企業の常套手段である「経営資源を得意分野に集中する差別化集中戦略」をベースにする
・使用する要素は極力、与件文から使ってなるべくなら言い換えしない
・足りない要素は一次試験の知識(ファブレス化のメリットなど)から補完
小さな因果の積み重ねが、解答の精度を上げることに繋がります。
因果を意識することは、単語の羅列になることを防ぐって観点でも重要!
1文での因果 → 設問内での因果 → 設問間の因果、って順を追って意識する練習をしよう!
第2問
【第2問】(20点)
2 代目経営者は、なぜ A 社での経験のなかった 3 代目にデザイン部門の統括を任せたと考えられるか、100 字以内で述べよ。
【趣旨】※公式はこちら
先代経営者からの事業承継や後継経営者の新規事業の立ち上げに関して、経営組織の視点から分析する能力を問う問題である。
◆A:事業承継や後継経営者の新規事業の立ち上げ
◆B:経営組織の視点 → 幸の日も毛深い猫の後半「権限移譲/部門/階層/ネットワーク/コミュニケーション」を利用
後継者の育成を含めた次代の組織作りが問われています。
特に今回は「経営組織の視点」と趣旨に明記されていますので人事のみの視点にならない様に注意が必要です。
次にふぞろいの観点は主に以下の3つになります。
【(ふぞろい)観点】
●C:事業承継
●D:前職の知見・ノウハウ
●E:戦略の効果
【趣旨】と【観点】の両面から再現答案を分析していきます。
理由は
①前職でデザイナー等と共同プロジェクトを行い、経験と人脈があり
②次代の社長として育成し
③利益責任を明確化し士気向上を図り
④既存部門との相乗効果を発揮し、組織活性化を図る為である
※「▼」をタップでウィンドウが開きます(タブで切り替えて各項目をご確認ください。)
【趣旨】
確認するポイントは以下の2点です。
①「趣旨」で求められている要素が入っているか
②「趣旨」が導く方向性から脱線していないか
先代経営者からの事業承継や後継経営者の新規事業の立ち上げに関して、経営組織の視点から分析する能力を問う問題である。
◆A:事業承継や後継経営者の新規事業の立ち上げ
◆B:経営組織の視点 → 幸の日も毛深い猫の後半「権限移譲/部門/階層/ネットワーク/コミュニケーション」を利用
理由は
①前職でデザイナー等と共同プロジェクトを行い、経験と人脈があり
②次代の社長として育成し
③利益責任を明確化し士気向上を図り
④既存部門との相乗効果を発揮し、組織活性化を図る為である
②の後継者育成で事業承継を、④のシナジー効果で新規事業の観点にそれぞれ言及しています。
「新規事業」とダイレクトなキーワードは入っていませんが、既存部門とのシナジーで新規事業の内容であることを判断できますので問題ないと思います。
あえて指摘を挙げるなら①~④の繋がりがやや希薄で、要素の羅列に見えてしまうことです。
たとえば①人脈があり → ②社長として育成、の部分は因果関係が薄いです。
このままの要素を活かすのであれば「①④」「②③」をセットにすると良いと思います。
順を入れ替えて繋ぎをいじるとこんな感じです。
理由は
①前職経験と人脈を活かしたデザイナー採用により
④既存部門とのシナジーで組織を活性化
③適切な権限委譲により利益責任を明確化して士気向上を図り
②事業承継に向けて次代の社長としての経験を積ませたかった(100文字)
理由は
①前職でデザイナー等と共同プロジェクトを行い、経験と人脈があり
②次代の社長として育成し
③利益責任を明確化し士気向上を図り
④既存部門との相乗効果を発揮し、組織活性化を図る為である
シナジーと組織活性化を取り上げており、組織の観点について明示しています。
①で人脈について触れているので、人材採用まで踏み込んでおけば、より加点が見込めたと思います。
【観点】
確認するポイントは以下の2点です。
①「観点」で求められている要素が入っているか
②使用する要素に偏りは無いか(バランスよく複数の観点で要素を使用できているか)
●C:事業承継
●D:前職の知見・ノウハウ
●E:戦略の効果
理由は
①前職でデザイナー等と共同プロジェクトを行い、経験と人脈があり
②次代の社長として育成し
③利益責任を明確化し士気向上を図り
④既存部門との相乗効果を発揮し、組織活性化を図る為である
次代の社長としての育成、で事業承継要素をクリアしています。
利益責任の明確化についても、管理者経験を積ませたいという方向性を強化するための説明になっており、良いと思います。
文字数と相談になりますが、「利益責任の明確化」の前に「適切な権限委譲」を入れておくと、因果が綺麗につながるのでおすすめです。
※権限委譲(因)→(果)利益責任の明確化(因)→(果)次代の社長として育成
理由は
①前職でデザイナー等と共同プロジェクトを行い、経験と人脈があり
②次代の社長として育成し
③利益責任を明確化し士気向上を図り
④既存部門との相乗効果を発揮し、組織活性化を図る為である
前職経験と人脈について触れていますが、せっかくなら「経験と人脈を活かし」まで入れたいところです。
加えて、①の中で人材採用にも言及しておけば④の組織活性化にも繋がり説得力が増します。
理由は
①前職でデザイナー等と共同プロジェクトを行い、経験と人脈があり
②次代の社長として育成し
③利益責任を明確化し士気向上を図り
④既存部門との相乗効果を発揮し、組織活性化を図る為である
④の既存分野とのシナジー、組織活性化については恐らく加点対象になっていると思われますが、③の士気向上については、少し説明を追加した方がいいかもしれません。
④の組織活性化の結果、士気向上することはあると思いますが、基本的には利益責任の明確化は各事業内の収支を見える化するためのものです。
「利益責任の明確化により成績に応じた成果給を取り入れることで」など、報酬に関わる表現があれば士気向上に繋がると思います。
ただ、今回は趣旨でも組織観点が求められていることから、報酬面については優先順位は低いです。
第2問 攻略の鍵と思われるポイント
・代替わりを含む場合、後進育成や事業承継要素の導入を意識しておく
・経営組織の観点(権限移譲/部門/階層/ネットワーク/コミュニケーション)を漏らさない
※人材採用など人事寄りの要素を入れた場合も、最終的には組織観点に繋げるとリスク分散できる
(〇〇な人材の採用により組織を活性化、など)
・人材採用については文字数に余裕があればどんな人材(今回ならデザイナー)まで踏み込むと加点が期待できそう
事例Ⅰでは人事観点か組織観点か、どっちをべースにするかで解答の方向性がガラっと変わっちゃうので要注意!
第3問
【第3問】(20点)
A 社は、現経営者である 3 代目が、印刷業から広告制作業へと事業ドメインを拡大させていった。
これは、同社にどのような利点と欠点をもたらしたと考えられるか、100 字以内で述べよ。
【趣旨】※公式はこちら
事例企業の競合との差別化や新規事業と既存事業とのシナジー効果について、事業戦略の視点から分析する能力を問う問題である。
◆A:競合との差別化、既存事業とのシナジー効果
◆B:事業戦略の視点で分析 → 「広告制作業で何をするか」を問われている
事業ドメインの拡大が生んだ利点と欠点、それを「差別化」「既存事業とのシナジー」で表現する問題です。
事業戦略視点のため「経営全体の戦略」からひとつレイヤーが下がり、「広告制作業」の面で考える必要があります。
利点と欠点については(内部/外部)の観点で見るのがセオリーの一つです。
要素が足りないときには(内部/外部)の観点で与件文から使えそうな要素を拾いましょう。
【(ふぞろい)観点】
●C:利点(内部/外部)
●D:欠点(内部/外部)
【趣旨】と【観点】の両面から再現答案を分析していきます。
利点は
①前職の人脈と経験を活かす事ができ
②外部環境の変化に対応し、収益性拡大を図る事ができる点。
欠点は
①新規の需要を創造する必要があり
②協業他社が多数存在し競争が激化している点である。
※「▼」をタップでウィンドウが開きます(タブで切り替えて各項目をご確認ください。)
【趣旨】
確認するポイントは以下の2点です。
①「趣旨」で求められている要素が入っているか
②「趣旨」が導く方向性から脱線していないか
事例企業の競合との差別化や新規事業と既存事業とのシナジー効果について、事業戦略の視点から分析する能力を問う問題である。
◆A:競合との差別化、既存事業とのシナジー効果
◆B:事業戦略の視点で分析 → 「広告制作業で何をするか」を問われている
利点は
①前職の人脈と経験を活かす事ができ
②外部環境の変化に対応し、収益性拡大を図る事ができる点。
欠点は
①新規の需要を創造する必要があり
②協業他社が多数存在し競争が激化している点である。
「前職の人脈とノウハウを活かす」=シナジー効果による差別化、が想起できます。
ただ、文字数が92文字で少し余裕もあるので「差別化し」あたりの要素を入れても良かったかなと思います。
言っていることはほとんど同じでも、ダイレクトに要素を挙げておく方が採点者としても素直にマルしやすくなるので、二次試験の解き方に慣れてきたら採点者にも優しい解答をめざしましょう。
利点は
①前職の人脈と経験を活かす事ができ
②外部環境の変化に対応し、収益性拡大を図る事ができる点。
欠点は
①新規の需要を創造する必要があり
②協業他社が多数存在し競争が激化している点である。
内部の視点で「ノウハウ活用」、外部の視点で「変化への対応と収益性拡大」と両面で戦略について触れています。
今回は「事業戦略」であるため「広告事業」についての戦略であることを意識しておく必要があります。
解答は全て広告事業のことを述べており、題意を捉えています。
【観点】
確認するポイントは以下の2点です。
①「観点」で求められている要素が入っているか
②使用する要素に偏りは無いか(バランスよく複数の観点で要素を使用できているか)
利点は
①前職の人脈と経験を活かす事ができ
②外部環境の変化に対応し、収益性拡大を図る事ができる点。
欠点は
①新規の需要を創造する必要があり
②協業他社が多数存在し競争が激化している点である。
内部の視点で「経験とノウハウを活かす」、外部の視点で「環境変化への対応」と「収益性拡大」をそれぞれ取り上げています。
内外の視点で多面的な解答になっていますが、やや、要素の詰め込みにも見えます。
無理に繋げず、2つに分けてしまってもいいかと思います
また、「外部環境の変化への対応」は「経営リスク分散」を指していると思うので、ここは言い換えた方が素直に繋がります。
①前職の人脈と経験を活かし既存事業とのシナジーによる差別化で収益性拡大
②既存事業に頼らない収益構造で経営リスク分散(57文字)
利点は
①前職の人脈と経験を活かす事ができ
②外部環境の変化に対応し、収益性拡大を図る事ができる点。
欠点は
①新規の需要を創造する必要があり
②協業他社が多数存在し競争が激化している点である。
内部の視点で「需要創造の必要性」、外部の視点で「競合」「競争激化」を取り上げています。
ただ、厳密に言えば①の「需要創造の必要性」ついてはA社のおかれた状況説明であり、欠点とは言い切れません。需要を創造する経営資源を社が持っていれば、需要創造の必要性は問題にはならないからです。
どちらかと言えば経営資源不足のため「需要創造ができない」ことが欠点で、新規顧客獲得が課題であることは与件文にも記載があります。
なのでちょっといじってこうするのもアリかなと。
①競合多数による競争激化と
②経営資源分散により営業力不足で新規需要の創造力に欠け
③新規顧客の獲得が出来ていないこと(57文字)
第3問 攻略の鍵と思われるポイント
・趣旨にもある「差別化」、「シナジー」という定番キーワードをそのまま利用する
・利点、欠点ともに内部と外部から多面的な解答をする
・取り上げる要素は与件に明記がある、もしくは一次試験知識の内容を優先(誰でも思いつくものを優先)
A社が抱える課題は与件文に書かれていることも多いので、見逃さないように要チェック!
社長の思いは、そのままA社の向かうべき方向性と考えてね!
実際のコンサル現場では社長が間違った方向性を示すこともあるけど、試験は試験と割り切ろう!
第4問
【第4問】(20点)
2 代目経営者は、プロジェクトごとに社内と外部の協力企業とが連携する形で事業を展開してきたが、3代目は、2代目が構築してきた外部企業との関係をいかに発展させていくことが求められるか、中小企業診断士として100字以内で助言せよ。
【趣旨】※公式はこちら
協力企業との関係とネットワークの構築について、助言する能力を問う問題である。
◆A:協力企業との関係
◆B:ネットワークの構築
ここだけすごくフワッとしています。
捉えどころの無い趣旨なだけに、受験者の中でも最も解答に差が出たことが予想されます。
一次試験のフレームワークに沿うなら、幸の日も毛深い猫の後半「権限移譲/部門/階層/ネットワーク/コミュニケーション」、特に「ネットワーク」「コミュニケーション」あたりに照準を当てて解答していくのがセオリーです。
【(ふぞろい)観点】
●C:発展のための取り組み
●D:取組の効果
【趣旨】と【観点】の両面から再現答案を分析していきます。
2代目は
①前職の人脈と経験を活かし
②先代の築き上げたサプライチェーンネットワークによる顧客の細かい要求に対応できる分業体制を強化し相乗効果により
③紙媒体と広告制作業務の拡大を図る事である
※「▼」をタップでウィンドウが開きます(タブで切り替えて各項目をご確認ください。)
【趣旨】
確認するポイントは以下の2点です。
①「趣旨」で求められている要素が入っているか
②「趣旨」が導く方向性から脱線していないか
協力企業との関係とネットワークの構築について、助言する能力を問う問題である。
◆A:協力企業との関係
◆B:ネットワークの構築
2代目は
①前職の人脈と経験を活かし
②先代の築き上げたサプライチェーンネットワークによる顧客の細かい要求に対応できる分業体制を強化し相乗効果により
③紙媒体と広告制作業務の拡大を図る事である
サプライチェーンネットワークや分業体制構築への言及はありますが、設問で問われている「外部企業との関係をどう発展させていくか」に対する解答としては、少しズレている様に感じます。
「分業体制を強化」や「相乗効果」から、外部企業との関係性を強化してシナジーにより事業を発展させて・・・と考えることもできますが、ダイレクトに「関係性強化」のワードが欲しいところです。
【観点】
確認するポイントは以下の2点です。
①「観点」で求められている要素が入っているか
②使用する要素に偏りは無いか(バランスよく複数の観点で要素を使用できているか)
2代目は
①前職の人脈と経験を活かし
②先代の築き上げたサプライチェーンネットワークによる顧客の細かい要求に対応できる分業体制を強化し相乗効果により
③紙媒体と広告制作業務の拡大を図る事である
「②分業体制強化」のところにワンクッション欲しいところです。
分業体制強化も確かに取組のひとつではありますが、どちらかと言えば、外部企業との関係性を強化していった先に結果として実現されるものではないかと思うからです。
「②先代の築き上げたサプライチェーンネットワーク」の部分が少し長いためここを「連携」に短縮し、こうしてみるのもアリかなと思います。
②外部企業との連携強化で情報共有を円滑化、それぞれの強みを活かせる分業体制構築で顧客の細かい要求への対応力を強化
これでほぼ同じ文字数です。
2代目は
①前職の人脈と経験を活かし
②先代の築き上げたサプライチェーンネットワークによる顧客の細かい要求に対応できる分業体制を強化し相乗効果により
③紙媒体と広告制作業務の拡大を図る事である
取組効果には業務の拡大を挙げています。
A社の最終的な課題は新規顧客の獲得による収益性拡大、になるため文字数と相談になりますが「新規顧客獲得」あたりのキーワードを入れておくとより加点が見込めると思います。
業務拡大については、紙媒体(既存事業)と広告制作(新規事業)の両面を対象にしています。
外部企業との連携は2代目のため、基本的には既存事業に対しての施策でしたが、②で相乗効果(シナジー)を取り上げているため既存事業と新規事業の両面で使って良いと思います。
第4問 攻略の鍵と思われるポイント
・発展のための取組の観点として関係性の強化をベースに考える
・他の発展のための取組として、組織面で情報共有やコミュニケーションの活発化、連携体制の強化を挙げると加点が期待できそう
・効果については内部の視点で組織活性化、外部の視点で新規需要開拓や売上向上などA社の抱える課題にリンクさせると説得力が増す
関係性については基本的には「連携強化」をベースに考えよう!
連携時のメリットは「コア業務への経営資源集中」「他者の高度な技術やノウハウを使用可能」→「高付加価値化・差別化」→「競争力強化」がセオリーだね!
第5問
【第5問】(20点)
新規事業であるデザイン部門を担う 3 代目が、印刷業を含めた全社の経営を引き継ぎ、これから事業を存続させていく上での長期的な課題とその解決策について 100 字以内で述べよ。
【趣旨】※公式はこちら
次世代経営者の事業戦略や経営組織の構築に関わる論点について、提言する能力を問う問題である。
◆A:次世代経営者の事業戦略
◆B:経営組織の構築 → 幸の日も毛深い猫の後半「権限移譲/部門/階層/ネットワーク/コミュニケーション」を利用
次世代となっているので3代目の事業戦略、つまり現時点から未来に向かっての戦略を提言します。
提言という言葉を使っていますが、ほぼ助言問題ですので助言と言い換えてしまっても問題ないと思います。
【(ふぞろい)観点】
●C:長期的な課題
●D:解決法
【趣旨】と【観点】の両面から再現答案を分析していきます。
課題は営業部門を設置し新規市場の開拓や新規の需要を創造する事である。
解決策は
①営業担当者を採用し②成果主義を導入し③権限を委譲し士気向上を図り④新規市場の開拓と新規の需要を創造し売上向上を図る事である。
※「▼」をタップでウィンドウが開きます(タブで切り替えて各項目をご確認ください。)
【趣旨】
確認するポイントは以下の2点です。
①「趣旨」で求められている要素が入っているか
②「趣旨」が導く方向性から脱線していないか
次世代経営者の事業戦略や経営組織の構築に関わる論点について、提言する能力を問う問題である。
◆A:次世代経営者の事業戦略
◆B:経営組織の構築 → 幸の日も毛深い猫の後半「権限移譲/部門/階層/ネットワーク/コミュニケーション」を利用
課題は営業部門を設置し新規市場の開拓や新規の需要を創造する事である。
解決策は
①営業担当者を採用し②成果主義を導入し③権限を委譲し士気向上を図り④新規市場の開拓と新規の需要を創造し売上向上を図る事である。
新規市場の開拓、新規需要の創造ともに長期課題として適切です。
課題は営業部門を設置し新規市場の開拓や新規の需要を創造する事である。
解決策は
①営業担当者を採用し②成果主義を導入し③権限を委譲し士気向上を図り④新規市場の開拓と新規の需要を創造し売上向上を図る事である。
A社に必要な施策として営業力の強化は与件文から読み取れる内容であり、解答の要素としての優先度が高いと考えられます。
権限委譲による士気向上も組織活性化の側面で必要な施策であり、趣旨に沿った解答になっています。
【観点】
確認するポイントは以下の2点です。
①「観点」で求められている要素が入っているか
②使用する要素に偏りは無いか(バランスよく複数の観点で要素を使用できているか)
課題は営業部門を設置し新規市場の開拓や新規の需要を創造する事である。
解決策は
①営業担当者を採用し②成果主義を導入し③権限を委譲し士気向上を図り④新規市場の開拓と新規の需要を創造し売上向上を図る事である。
課題と解決策がすこし入り混じっている印象です。整理するとこうかなと思います。
【課題】
「新規市場開拓」「新規需要創造」→「売上向上」
【解決策】
「営業部門設置」「営業担当者採用」&「権限委譲」→「士気向上」
営業部門の強化については与件から上手く要素を抽出しており、説明も十分です。
ただ、課題と解決策で「新規市場の開拓と新規の需要創造」をダブらせているため、文字数が少し勿体なく感じました。
ダブっているところを無くせば、いくつか要素の追加も可能だと思います。
こんな感じです。
課題は新規市場の開拓と新規需要の創造による収益性の向上
解決策は
①営業部門の設置や専門人材採用で営業力強化し競争力向上
②適切な権限委譲で士気向上と組織活性化を図り
③新旧事業間のシナジーで高付加価値化(98文字)
※「成果給」については賃金面での不満がある旨が与件文に見つけられなかったので優先度を下げました
第5問 攻略の鍵と思われるポイント
・長期的な課題は与件文から拾うなら「売上拡大」や「営業力強化」
・経営組織の構築を内部の視点(組織作り/活性化等)と外部の視点(連携等)で捉えると多面的な解答に
・課題と解決法の因果関係を意識する
与件文、設問、一次知識と解答の要素をどこから持ってくるかの取捨選択が超重要です。
優先度は「与件文=設問」>「一次知識」かなって感じですね。
さてさて、hotmanはこの事例Ⅰ、開示得点と手ごたえって比較してみてどうだった?
60点は超えていると思ったけど届かなかったなー
採点基準って何なの?ってちょっと不安になった。
わかるわー・・・
採点基準、公開してくれたら対策もしやすいのにね。
それじゃhotmanありがとう!
それでは皆さん、お疲れさまでした!
またお会いしましょう!
さいごに
二次突破への取組(※初回用)
色々と再現答案に対して分析・指摘をしてはいますが、これも絶対に正解かと言われるとそんなことは無いと思います。
二次試験は受験生の皆さん自身が自分で事例を分析し、自分が80分で解答できるだけの解法を作り上げていく試験です。
「解法を育てていく試験」というのがミソで、他人の方法をモロパクリしていても安定した実力は身に付きません。
パクってから如何に自分に合わせてカスタムできるかが勝負です!
僕の二次試験は、ほぼ独学(あとは診断士ゼミナールを事例Ⅳだけ使用)でした。
一番困ったのは自己採点で、事例Ⅰ~Ⅲではふぞろいを使ったキーワード採点しかできなかったこと。
勉強仲間が居なかったので、効率の悪い方法になっていても誰も指摘してくれませんでした。
今回の記事で使っている分析方法はスマートとは言えませんが、【趣旨】とふぞろいさえあれば誰でもできる方法です。
皆さんも事例を解いた後、公式から該当年度の趣旨を探し、ふぞろい片手に解答を分析してみて下さい。
そして、答案分析に慣れてきたら自分なりの分析を加え、ブラッシュアップしていきましょう。
僕の場合、趣旨に沿って真正面から解答したり、キーワードの因果関係を意識したりといった手法に出会い、納得の行く解法に到達したのは二回目の二次試験直前でした。
読者の皆さんには、解法完成までの手順を少しでもショートカットして頂きたいとの想いから、今回の事例分析では「自分で採点出来るようになる」というのを意識して記事を作っています。
二次試験は絶対的な模範解答がありません。
中小企業診断士の二次試験は、試験当日までにどれだけ「自分に最適化した解法」を作り上げられるか、そしてその解法を当日に再現できるかが全てです。
この記事が、皆さんの「自分が80分で解ける解法」完成までの第一歩になれたら良いなと思っています。
みなさんお疲れ様でした!
さいごに令和3年度の道場13代目の再現答案まとめと、道場でやった「リット・あらきち・まん」3人分の分析記事へのリンクをご紹介しておきます。
事例分析を進める際の材料として、ぜひお使いください!
みんなもぜひ令和3年度の事例Ⅰを解いた後は、趣旨とふぞろいで答案を分析してみてね!
中小企業診断士試験 一発合格道場
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R03事例分析シリーズ第一弾は事例Ⅰです!95点/87点/54点の再現答案を比較し、公式から発表されている趣旨とふぞろいの観点から合格のポイントを探ります!自己採点時の感覚…
次回も事例Ⅰの再現答案分析。
開示得点:54の「にに」の再現答案です。